月刊税務会計ニュース (平成28年11月)
主題 : 日本と韓国の民法上の法定相続
法定相続とは?
相続には相続人、相続順位、相続分など、すべてを法律によって定める「法定相続」と、遺言によって相続財産の自由な処分を認める「遺言相続」がある。
韓国の相続法は、被相続人の遺言によって相続財産の帰属を認める遺言相続を認める。そして、遺言がない場合、法定相続が開始される。
法定相続人:民法上の4親等以内の傍系血族が法定相続人になることがあり、そのためには、被相続人(死亡した者)を基準として、①直系卑属→②直系尊属→③兄弟姉妹→④4親等以内の傍系血族となる。
配偶者は、1順位と2順位の相続人がいる場合には、その相続人と同順位で相続人となり、1、2順位相続人がいない場合には、単独相続人となる。
法定相続分
韓国
被相続人の相続分の指定がない場合に、民法の規定により決定される相続分である。私たちの民法は、同順位の相続人が数のときは、その相続分は均分することを原則とする(民法第1009条1項)。ただし、次のような例外がある。
(1) 被相続人の配偶者の相続分は、直系卑属と共同で相続するときは、直系卑属の相続分の5割を加算して、直系尊属と同等に相続するときにも直系尊属の相続分の5割を加算する(第1009条2項)。
(2) 代襲相續人の相続分は、被代襲相続人の相続分による(第1010条1項)。そして、被代襲相続人の直系卑属が数人であるときは、その相続分は、被代襲相続人の相続分の限度で、前述した方法(第1009条)によって決定される(第1010条第2項前段)。配偶者が代襲相続する場合(第1003条2項)にも同様である(第1010条第2項後段)。
そして、共同相続人中に、被相続人から財産の贈与又は遺贈を受けた者は、特別受益者(特別受益者)、その受贈財産が自分の相続分に達しないときは、不足している部分の限度で相続分がある(第1008条)。
共同相続人中に、被相続人の財産を維持または増加に特別に寄与した者(被相続人を特別に扶養している者を含む)があるときは相続開始当時の被相続人の財産価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産として法定相続分と代襲相続分によって算定した相続分に寄与分を加算した額として、その者の相続分とする。そして、それが協議されなかったり協議することができないときは、家庭裁判所が貢献の請求により種々の事情を参酌して寄与分を定める。その寄与分は相続が開始されたときの被相続人の財産価額から遺贈の価格を控除した額を超えない(第1008条の2)。
日本
相続人の範囲や法定相続分は、民法で次のとおり定められています。
(1) 相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
1) 第1順位
死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
2) 第2順位
死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
3) 第3順位
死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。
(2) 法定相続分
イ 配偶者と子供が相続人である場合
配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
ロ 配偶者と直系尊属が相続人である場合
配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
ハ 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。
また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。
(民法887、889、890、900、907)
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